前後的な噛み癖が存在します
 噛み癖(偏位咀嚼)には左右と同時に、前後的な噛み癖が存在します。通常堅いものを食べるときなどは、主として奥歯(第一、第二大臼歯を使うことが多いようで、特に若年者に多くみられる傾向にあります。
 年が経つにつれ、次第に奥歯の咬耗(すりへり)や虫歯などによる歯の喪失、などが起こってきます。すると咬合高経(噛み合わせの高さ)は奥に行くにしたがって低くなるため、頭部が後方に傾斜することになります。
 そのような頭の後方重心移動が起きる場合、その姿勢を補正するため、胸椎、腰椎のあたりで、調節することになり、腰が前に倒れるいわゆる、猫背姿勢となり、脊椎(頚椎、胸椎、腰椎)は前後的に湾曲度が増すとかんがえられます。このための前後的重心偏位で脊椎椎間板の圧迫が生じるようになり、各種神経伝達障害に起因する症状も合わせて、現れやすくなると考えます。
 このような咬合状態で聴力測定を行った結果、大臼歯部偏位咀嚼の人の聴力は、125〜500Hz(低周波帯)の低下として、顕著に表れています。この聴力低下パターンは耳鼻科における突発難聴パターンに類似した低周波の低下です。
 また、歯科疾患(虫歯や歯周病)などは、奥歯から進行してくることが多く、高齢者に至っては、犬歯が比較的最後まで残るため、犬歯小臼歯部偏部噛みとなってきます。犬歯、小臼歯部咀嚼の場合の聴力値は、2.000〜8.000Hz(高周波帯)の低下が顕著です。この聴力パターンは、同時に耳鼻科の老人性難聴パターンと一致しています。

 姿勢の前後的変化
 大臼歯部の高さが低くなると直立時、頭部は後方に偏位する、そのため、筋肉バランスなどにより、体全体でその姿勢を補正する動きが無意識のうちに行われ、前かがみ姿勢(猫背姿勢)になります。
 頭位置の変化から、頚椎の湾曲度が増し、頭部の上向き姿勢をカバーするため、次に腰椎が前方に傾斜することになるとおもわれます。
 これが猫背姿勢の原因であり、同時に肩こり(首こり腰痛、ヒザ関節痛の原因となる可能性が高いと思われます。
 さらに頚椎、胸椎、腰椎の傾斜に関連して、椎間板の圧迫が起こり、その部位を通過している神経の圧迫、などからその領域の神経伝達機能障害が発生するものと思われます。
 第5,6,7番、頚椎あたりからは、腕および手の運動機能をつかさどる橈骨、正中、尺骨神経などがでており、その部位の椎間板圧迫などで、腕のしびれや手の運動機能に関するさまざまな障害が現れる可能性があります。 さらに、前傾姿勢は腰からヒザの関節に影響を与え、変形性膝関節症などの症状を呈するものとかんがえます。